痛風について、「自分が痛風であるのか」「予備軍であるのか」、それとも「まだまだ平気なライン」なのかを見分ける基準としてポイントとなるのは「尿酸値」です。
健康診断・人間ドックで行う検査結果の説明を受けるとき、「尿酸値が高いですね!」と指摘された経験のある人も多いでしょう。
特に、中年の男性であれば何らかの疾患を持っていなかったとしても、同年代に痛風が増えてきたため尿酸値が気になり始める人も多いのではないでしょうか。
今回はこの「尿酸値」について、どれくらいが危険な数値なのか、どうすれば尿酸数値を抑えられるのかといったことにスポットを当てます。
この記事を読むと
- 尿酸値とはいったい何なのか今一度詳しく知っておきたい
- どれくらいの尿酸値からが危ないのか知っておきたい
- 尿酸値が高いと言われたけれど、具体的に何をすればいいのか教えて欲しい
こんなことがわかるようになります。痛風を予防したいあなたに役立つ情報がきっとみつかるはずですよ。
痛風に関係のある「尿酸値」って一体何?どうやって知るの?
尿酸値が高いか低いかというのは、血圧などと同じようにパッと見てわかるものではありません。
勤務先での健康診断や、自治体での住民健診、他にも人間ドッグなどで血液検査を受ける機会があれば、血中の尿酸濃度を計測することができます。
結果はすぐに出ることはなく、大体が自宅や勤務先に結果が送付されてきます。
健康診断の結果が手元にある人は、血液検査の結果報告の項目の中で「尿酸値」や「血清尿酸値」という欄があるのでチェックしてみてください。
これが痛風かどうかの1つの見極めになる「血中尿酸濃度」になります。
つまり尿酸値とは血中尿酸濃度のことで、血液に含まれる尿酸の濃度のことを表しており、血液1dL(100ml)のうち、尿酸が何mg含まれているかを表しています。
そのため、尿酸値の項目には「◯◯mg/dL」という単位が書かれています。
どういった健診を受けたとしても、報告書には正常値の範囲が書かれていて、その基準値から外れていると、☆のマークや何かしら注意をひくようなマークがつくはずなので正常値の範囲から外れている場合は注意が必要です。
それでは、健康診断の結果に書かれている尿酸値の読み取り方をお分かりいただいたところで、痛風になる可能性の高い尿酸値についてご説明していきます。
血清尿酸値の基準値(正常値範囲)…これを越えると痛風に!
一般的に尿酸値は男女で差があることが知られており、血清尿酸値の正常値の範囲は「男性で3.8~7.5mg/dL、女性で2.4~5.8mg/dL」が基準値として設定されています。
しかし、これらの値はあくまでも目安として認識し、基準値の範囲におさまっていたからといって油断は禁物です。
なぜ男性と女性でこれほどまで基準値が違うのかというと、女性ホルモンの影響によって一般的に女性の尿酸値は低くなりやすいことから、女性の平均的な尿酸値を基準に考慮して男女別に血清尿酸値の基準が設定されているためです。
つまり健康診断に書かれている基準値は男女によって違いがあり、個人差もあることから範囲が広めに設定されているということです。
根本的に人間の体の機能としては、7mg/dLを超えると尿酸が溶け出すことができないというのが通説であるため、この基準を超えている場合には要注意であるといえるでしょう。
通常の条件のもとでは血漿の中で尿酸が7mg/dL以下の濃度であれば体内で溶け出すことができるため、体内で尿酸結晶と呼ばれるかたまりになることがないので痛風発作の原因が作られない状況となります。
つまり痛風を発症する可能性は極めて低いです。
そもそも、尿酸は健康な人でも7mg/dLの濃度を下回る量で体内に常に存在しているものであり、基準を下回る尿酸が体の中にある場合には全く心配いりません。
しかし、尿酸値が7mg/dLを超えてしまうと、尿酸が溶け出すことができなくなるため、その結果として尿酸の結晶がつくられていきます。
このように溶け出すことができなくなった尿酸が、痛風を引き起こす引き金となっていくのです。
ですから、一時的であっても、血清尿酸値や尿酸値が7.0mg/dLを超えている場合は、「正常範囲内だからまだ平気」とせずに、きちんと内科などを受診して、再検査を受けた方が良いのです。
痛風を引き起こさないために尿酸値を適切な範囲にコントロールしていくことが、最も重要になるといっても過言ではないでしょう。
7mg/dLを超えると「高尿酸血症」となり痛風予備軍となる
一般的には尿酸値が基準とされている7mg/dLを超えてしまったとしても、すぐに誰でも痛風になるわけではありません。
7mg/dLという基準を超える尿酸値を示すと、医療機関では「高尿酸血症」という診断がつけられることになります。
高尿酸血症の診断がつく範囲では、痛風発作を起こすリスクが高まっている状態であるといえ、痛風の予備軍に該当するといえるでしょう。
男性の場合尿酸値の正常値の範囲の上限は7.5mg/dLと定められていますが、正常値の範囲であっても「高尿酸血症」と診断されてしまうことがあるということです。
まとめると、例え男性であったとしても7.0mg/dLを超えた状態が長く続けば続くほど痛風を発症するリスクが高くなっているということです。
逆に尿酸値が低くても危険なことを覚えておく
実は尿酸値というのは低ければ低いほどいいというものでもありません。
正常の範囲に下限があるということは、それよりも低い場合はそれはそれで異常であるのです。
血清尿酸値が低い場合で、2mg/dLとか1.5mg/dL、もしくは1.0mg/dLなどと言う場合は、低尿酸血症と呼ばれ、こうした人の一部には、運動後に腎障害や尿路結石が起こることがあるのです。
低尿酸血症が起こっている人の多くの場合で、体内で物質を輸送する役割のたんぱく質(SLC22A12)が遺伝子的に変異をしていることがあるのです。
ですから、尿酸値は高くても低すぎても、正常範囲内にない場合は一先ず内科を受診することをおすすめします。
高尿酸血症から痛風になっても痛いのですが、低尿酸血症で尿路結石になってしまっても、結石は結石でとっても痛い症状が出ますからね。
尿路結石の症状について知りたい方はこちら
どのぐらいの数値からが「痛風予備軍」だと思っておくべき?
先の項で尿酸値の正常範囲をご紹介しましたが、では一体どのくらいの数値から「痛風予備軍」と考えれば良いのかと言うことについてお話していきます。
たまたま健康診断時に痛風予備軍のボーダーラインとされる7mg/dLをくぐりぬけられたとしても、日常生活の乱れによって体内での状況は刻刻と変化しています。
まずはこちらの「痛風予備軍危険度チェック」をしてみてください。
痛風予備軍 危険度チェック
- 1)あなたは男性である
- 2)体重が標準体重以上である(つまり太り気味、太っているとされる方である)
- 3)お酒が好きである(毎日350mlのビールを2本は飲む)
- 4)あなたは40歳以上である
- 5)魚卵や鮟肝などの珍味が好き
- 6)日々の生活でストレスを感じることが多い
- 7)激しい運動をする機会が多い
- 8)近しい血縁者に痛風患者がいる
いかがですか?上記の項目についてあなたはいくつYESがついたでしょうか?
このチェックはYESの数が多ければ多いほど痛風予備軍である危険度も上がっていくというチェックリストになっています。
特に2や5にチェックがついた人は、今は尿酸値が正常範囲内であっても、いつ尿酸値が上昇していくかわかりませんので、適正体重を目指して食事に気を付けるとか、プリン体の多い食事を控えるなどと言ったことを始めた方が良いでしょう。
自分の尿酸値は注意したほうがいいレベルなのか…痛風予備軍の尿酸値とは?
男性の尿酸値の正常範囲は、大体が3.8~7.5mg/dLとご紹介しましたが、頭に入れておいてもらいたい基準値は7.0mg/dLとご紹介しました。
医学的には日本痛風・核酸代謝学会の基準では、尿酸の血中濃度は7.0mg/dLを超えた場合について、「高尿酸血症」と位置付けています。
この数値が高くなればなるほど、体内で尿酸血症ができやすくなり、痛風になりやすいと考えられているのです。
ある調査においては、尿酸値の数値やその他の症状からすでに痛風と判断されている人が60万人、尿酸値が8.0mg/dL以上の高尿酸血症患者はナント200万人、そして尿酸値が基準値以上の7.0mg/dL以上の人は600万人以上にも及ぶという結果が出たとされています。
これを成人男性についてのわかりやすい割合で示すと、成人男性の100人に30人が高尿酸血症であると言えるのです。
ちなみに、こうした調査では、痛風にまではなっていない、ぎりぎり痛風ではないと言う人が「痛風予備軍」と言われるので、尿酸値が8.0mg/dLの人たちを痛風予備軍としていました。
ただ、尿酸値が高くても、痛風発作を起こしたことがなければ「痛風予備軍」には間違いないのですが、それは単に痛風発作を起こしていない「痛風患者」とみなしても間違いではないと思います。
特に尿酸値が8.0mg/dLを超えているような人は、いつ痛風発作が起きてもおかしくない状態なのですから。
そう考えると、高尿酸血症であるかどうかの基準値となる7.0mg/dL付近にいる人は、既に痛風予備軍と考えて、日々の生活習慣や食事内容を改善していくことが「本当に」痛風にならない最善策になるはずです。
ということで、このサイトでは尿酸値は6.5mg/dLを超えている人は、自覚して生活を節制していくことが大切!と断言したいと思います。
なぜ尿酸値が上昇するの?痛風を引き起こす2つの環境的要因について
尿酸値が上昇する背景には、いくつかの要因があるとされています。
そのなかでもとりわけ重要な痛風を引き起こす要因となるものを大きく分けると2つになります。
一つ目は食事などの「生活習慣の乱れ」によるもの
二つ目は「遺伝的要因」によるものです。
食生活のあり方については以前から論じられてきましたが、近年は遺伝的な要因もあると考えられています。
痛風を改善していきたいと考えたときにはこのどちらも重要な要素を締めているために見過ごせないものになります。尿酸値が上昇するこれらの要因についてそれぞれ詳しく見て行ってみましょう。
まずは自分である程度コントロールすることができる生活習慣から掘り下げていきます。
痛風を引き起こす要因その1:生活習慣による要因とは?
生活習慣の中で痛風の発症に大きく関わるものは以下の通りとなります。
- 食生活の乱れ
- ストレス
- メタボリックシンドローム
どれもこうしてみると「なるほどなぁ…」と思うようなものばかりではないでしょうか?
ですが、当たり前のことを当たり前に行うことがどれだけ難しいかは、あなたも今までの経験から十分に理解していることと思います。
「食生活の乱れ」「ストレス」「メタボリックシンドローム」
これらを上手に解消していくための工夫なども交えて、どうして痛風に関係するのかという点を具体的に解説していきたいと思います。
基本的な食生活の影響
まずは尿酸値が上昇する代表的な要因として「食事」のあり方が挙げられます。
一般的に痛風を引き起こすものとしてよく認知されているものはビールなどのアルコールになりますが、確かに飲酒をする人には痛風を発症するリスクが高まります。
アルコールを飲むとどんな人でも一時的に尿酸値が上がりますが、さらにアルコールを分解するときに生じる「乳酸」が、尿酸を溜め込むように作用してしまいます。
アルコールはプリン体の多いビールさえ飲まなければ大丈夫と思っている人も多いですが、実際にはアルコール自体の作用として尿酸を溜め込む方向に働くため、アルコールを含むものは全般的に摂取しないほうが好ましいでしょう。
食べ物の面でも、食事量が多く、高カロリーなものを食べる人は注意が必要です。
痛風の原因となる尿酸を作り出す「プリン体」は、一般的にレバーや肉類に多く含まれています。
したがって、内臓系の珍味が好きで、お酒のつまみにしている方は要注意です。
健康診断で尿酸値が高く出ている人は、普段の食生活も健康的なものとなるように気をつけたいところです。
ストレスが痛風発症のリスクを高める
痛風の発作は、仕事が忙しいときや出張に行ったときに起こるケースが多いとされています。
ストレスが尿酸値をあげるという事実が、少しずつ明らかとなってきているのです。
日頃からストレスを感じており、それをお酒や食事で発散している人は痛風を発症するリスクが非常に高まってしまうということになります。
普段から「自分はストレスを感じやすい方だ」と認識している人や、「最近いらいらすることが多い」などの自覚がある人は、ストレスを発散できるようにリフレッシュする時間を設けてみてください。
ストレスは痛風以外にもさまざまな病気の原因となることが知られているため、リフレッシュすることは重要です。
特に日本人は働きすぎという特徴があり、いわゆる「ワーカホリック」に陥りやすいともいわれています。
日本人は諸外国の労働者と比べて勤勉で、家庭をかえりみずに働く傾向がありますが、それだけ心身ともにストレスがかかりやすくなります。
何事もバランスが大切であるため、仕事以外に息抜きをすることも忘れないように心がけましょう。
メタボリックシンドロームなどの影響
2007年にアメリカで実施された調査では、メタボリックシンドロームの割合と尿酸値には関連性があることが見出されました。
なんとなく痛風にかかる人は肥満気味の中年男性というイメージがありますが、それはあながち間違っていないといえるでしょう。
メタボリックシンドロームの人は尿酸値が高まり、やすいといえます。
他にも、尿酸値の高さと関係のある疾患は、腎不全・高血圧など様々なものが挙げられており、生活習慣病と大きく関わりがあることが見てとれます。
痛風を引き起こす要因その2:遺伝的な要因
痛風は生活習慣が原因となって発生するイメージがありますが、実は遺伝的な要因もかかわっているのです。
実際に、健康志向が強い人であるにもかかわらず痛風を発症する人も多く、一概に食生活をはじめとする生活習慣だけが原因なのではないと認識されるようになりました。
痛風大国ともいわれる台湾では、両親・兄弟・子供に高尿酸血症を発症したことのある人がいる場合、自分が高尿酸血症にかかる確率が約2倍になることがわかりました。
痛風や高尿酸血症の発症は、生活習慣だけでなく遺伝的にも影響があるというのです。
したがって、もしあなたの近親者の中に痛風や高尿酸血症にかかっている人がいるとしたら、あなた自身も同じ病気を発症するリスクが高まっているといえます。
その場合は、より一層痛風の予防に対する意識を高める必要があるでしょう。
また、痛風と遺伝は関係あるといわれていますが、実際にはもう一つ違った見方もあります。
その考え方とは、家族や親族においては食事を含む生活習慣がそもそも似ているということです。
遺伝子だけでなく、実際の生活習慣も代々受け継がれているのだとしたら、それが痛風を引き起こす要因となっている可能性もあります。
したがって、遺伝による影響と一概にはいえませんが、少なくとも近い身内に痛風や高尿酸血症の人がいれば発症のリスクが高まるということは明らかな事実です。
したがって、身内に痛風の人がいる場合は用心することが望ましいでしょう。
痛風にならないために尿酸値を抑えるにはどんなことに気を付ければ良い?
まだ痛風になってはいない、という状態のあなたに気を付けてもらいたいのは、やはり尿酸値をうまくコントロールするようにということです。
これは、痛風になっていないのであれば、自分で気を付けてコントロール部分に目をむけると比較的かんたんに実現することができます。
遺伝的要因をどうにか変えようと思ってもコントロールできるものではないですが、生活習慣の改善であれば今日からでも行っていくことができますよね。
痛風の危険度チェックリストはそのまま生活改善のヒントになる
具体的にどのようにすれば尿酸値が抑えられるのかというのは、上でご紹介した危険度チェックリストを利用するとわかりやすくなります。
ではここから、危険度チェックリストを利用して、どんな風に生活の改善をすれば良いかお伝えします。
- 1)あなたは男性である
- 2)体重が標準体重以上である
- 3)お酒が好きである
- 4)あなたは40歳以上である
- 5)魚卵や鮟肝などの珍味が好き
- 6)日々の生活でストレスを感じることが多い
- 7)激しい運動をする機会が多い
- 8)近しい血縁者に痛風患者がいる
→痛風患者の約98%は男性です。調査によっては99%が男性という調査結果もあります。
あなたが男性なら、たとえ尿酸値が正常中の正常値でも、痛風のリスクが高いということを自覚して、暴飲暴食を避けるようにしてください。
→高脂血症とか、そこまではいかなくても太り気味と言う人は総じてプリン体の多い食事を好みがちです。
できれば標準体重までは最低限でも身体を絞って、痛風のみならず高血圧や心筋梗塞の危険性を低くするようにしましょう。
→ビールはプリン体の多いアルコール飲料として有名ですよね。
同じお酒を飲むのでも、焼酎などにはプリン体はほとんどないので、お酒の種類を変えたり、ビールでもプリン体ゼロのものを選ぶなどして、過剰な摂取は避けるようにしましょう。
→痛風患者の多くは60代以上の男性です。
ただ、40歳を過ぎると血中の尿酸値が高くなる生活を改善することが難しくなってくるので、40歳を超えている人はかなり気を引き締めて自己の体調管理に勤しむ努力が必要です。
40歳未満の人は、今からできるだけ尿酸を増やすような生活をしないように生活習慣を整えていくことを心がけてください。
→プリン体が多い食品の第1位に挙げられることが多いのは「鮟肝」です。
他にも魚卵やマグロなどはプリン体が多い食品として有名です。
こうした食品は酒の肴の珍味に多いので、お酒を飲む人は自分が良く食べているツマミがプリン体を多く含むものかどうかをきちんと調べてみた方が良いですよ。
→実はストレスによって体内に増える「活性酸素」は尿酸を過剰に作り出してしまうメカニズムを生み出してしまいます。
日々の中でストレスを感じない生き方は難しいですが、週に1度でもストレスをパァッとなくせる日を作ってリフレッシュすることは大事ですよ。
→適度な有酸素運動は尿酸値を下げることに効果がありますが、激しい運動というのは一時的でも尿酸値をぐんっと上げてしまいます。
ですから、既に尿酸値が正常範囲内で高めの方にある人は、たくさん激しい運動をする機会を持つことは控えた方が良いかもしれませんね。
→近しい血縁者に痛風患者がいる場合、遺伝で痛風に…ということはなくても、似通った生活習慣のために痛風になりやすくなることはあります。
それが特に両親などの場合は、生活習慣が似てくる(というよりその生活習慣で育つ)のでかなり自覚して生活を改善しない限り、痛風になってしまうリスクが上がります。
これじゃいけない!という生活習慣を繰り返していると自覚をしたら、家族みんなで生活習慣を正すことも大切です。
痛風の基本!プリン体と尿酸の関係って?
尿酸値が高いといえば、ビールなどに含まれるプリン体が影響しているというイメージをお持ちの方も多いことでしょう。
実際に、プリン体と尿酸値にはどのような関係があるのかをここから少し掘り下げて考えてみたいと思います。
まず、プリン体は尿酸を作るための材料であると認識するようにしましょう。
尿酸とは、プリン体が分解・代謝されていく中で最終産物として生じる物質であると考えられています。
プリン体はレバーや魚卵、肉などに多く含まれており、尿酸値の高い人が摂取すると最終的に残る尿酸の量も増える恐れがあります。
したがって、プリン体をたくさん含むと言われている食品はできるだけ摂取を控えるようにすることが望ましいです。
しかし、実際には食べ物を通して外から取り込むプリン体よりも、体の中に存在するプリン体をもとにして尿酸を作ることの方が圧倒的に多くなります。
食べ物から取り込んだプリン体で作られる尿酸は約2割である一方で、体内のプリン体に由来する尿酸は残りの8割を占めるといわれているのです。
そうすると、「食べ物にはあまり気を使わなくてもいいのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、実際に食生活と痛風の関連性ははっきりと示されています。
プリン体が多いと言われている食品を頭にいれ、できるだけ摂取を控えるようにしてください。
次に、痛風予備軍の方が気をつけるべき食品についてご紹介していきます。
痛風にならないために気を付けたい食品 1:アルコール飲料
一般的には、痛風といえばアルコールが引き金となっているイメージがあります。
実際にアルコールには尿酸値を高めるような作用があるため、痛風予備軍の方は摂取を控えた方が良いです。
どうしてもお酒を飲みたい人は、ノンアルコール・プリン体ゼロのビールで気分だけ味わうようにすることをおすすめします。
痛風にならないために気を付けたい食品 2:肉類
日本人の食生活も大きく様変わりし、欧米のスタイルに近くなってきました。
肉を中心とした食事のスタイルが好まれるようになり、肉からプリン体を摂取する機会が増えたのです。
特にレバー類にはたくさんのプリン体が含まれていることが知られており、要注意な食材です。
ベジタリアンの人は尿酸値が低いことが明らかとなっており、肉類が尿酸値を高めるように作用していることがうかがえます。
痛風予備軍の方は、摂取する肉の量を減らすなど食生活を少し工夫してみましょう。
痛風にならないために気を付けたい食品 3:魚の干物
肉だけでなく、魚についても同様に注意が必要です。
魚の中でも特に干物になったものには大量のプリン体が含まれており、尿酸値を高める原因となってしまいます。
魚の干物は美味しくやみつきになってしまいますが、健康管理の観点からは控えることが望ましいです。
上記のように、普段の食生活の中にも尿酸値を高める食材や飲み物は隠れています。
まずはどんな食べ物が尿酸値を高めてしまうのか知識を身につけて、それらの食べ物はできるだけ控えるように心がけましょう。
意識するだけでも日々摂取するプリン体の量は大きく変わってくることでしょう。
尿酸値が高くなるのは中年男性だけなの?痛風は男性がほとんど?
従来は、痛風や高尿酸血症といえば中年の男性に多いイメージがありましたが、最近では食生活の変化によって比較的若年の人にも痛風を発症する人が増えてきています。
実際に、これまでは痛風の発症年齢は50代がピークであるといわれていましたが、現在はそのピークが低年齢化して、なんと30代に移ってきていると報告されています。
しかも、この報告は1965年と1992年のデータを比較して行われたもので、この間に痛風発症の低年齢化が起こったということになります。
その報告から既に時間が経過しており、痛風を発症する年齢層はさらに変化していく可能性もないとはいえないでしょう。
また、女性の社会参加により生活パターンが男性化し、飲酒の機会が増えたことなどから、女性の痛風患者も増えていることが現状です。
実際の調査でも、1992年には女性の痛風患者は6.6万人であったにもかかわらず、2004年になるとその数は倍近くに増えたとしています。
年々女性の痛風患者は増加傾向にあり、女性の方でも関係のない病気ではなくなってきているのです。
痛風は、中年男性だけが痛風のリスクがあるのではなく、男女問わずかかる可能性のある病気に変化してきていることが特徴です。
実際に、国民の尿酸値は男女ともに上昇してきていることがわかっており、昔と比べて多くの人が痛風のリスクを抱えている状況であるといえるでしょう。
近年は痛風にかかる人の年齢層や性別の変化も見受けられますが、痛風の患者数自体も増加傾向にあります。
尿酸値が基準値である7mg/dLを超え、高尿酸血症に該当する人は、成人男性のうち約4人に1人ともいわれています。
国内では、痛風の患者数は約90万人に達すると推定されており、その数がどんどん増加してきているといえます。
痛風や高尿酸血症は、多くの人にとってとても身近な病気となってきているといえるでしょう。
痛風は長期化しやすい病気の代表格
痛風は一度発症してしまうと再発しやすく、長期化しやすい病気です。
そのため尿酸値が高めの方は日頃から「予防」という視点を持って生活することが重要となります。
一度発症すると「風が吹いただけでも痛い」といわれるほどの痛みに見舞われ、非常に苦しい思いをします。
毎日の生活の中で意識を高く持ち、自分の生活習慣を見直すようにしましょう。
尿酸値をコントロールするために使えるもの
ここまでにご紹介してきたように、尿酸値をコントロールするには食事であったり、生活習慣であったりを改善することが何より大切です。
ただ、そうしたものを改善していても、日々の生活の中で不足する栄養素や、尿酸をコントロールしやすい栄養素が足りないと言うことは普通にあります。
ではそのような時にどんな策を講じれば良いかというと、サプリメントなどの栄養補助食品を利用することが簡単でしょう。
今は、痛風予防のために新素材が発見されていて、その素材はきちんとした尿酸値についての研究でも、尿酸値を正常値に抑える(尿酸値を下げる)ことが証明されているのです。
その新素材とは「アンセリン」という物質で、回遊魚の体内や、渡り鳥の翼の筋肉内からみつけられています。
もし尿酸値のコントロールでサプリを試したいというあなたは、アンセリンが配合されたものについて探してみると良いと思いますよ。
他には、葉酸にも尿酸の生成を抑制する働きがあったり、カリウムには尿酸を体外へ排出する働きがあったりするので、こうした物質が配合されえいるサプリを探すのも良いでしょう。
ただ、葉酸に関しては抗てんかん薬との飲み合わせが良くないなどの注意点もあるので、サプリメントを選ぶときは、現在あなたが抱えている持病や、いつも飲んでいる薬などとの飲み合わせを考えたり、かかりつけの医師や薬剤師に相談することが大切ですよ。
今までの生活スタイルを急にガラッと変えるのは非常に難しいことですが、毎日飲むだけで食事習慣のサポートとなってくれるようなサプリメントを活用すると、手軽に予防習慣を始めることができます。
まだ手に取ったことがない場合は、一度はサプリメントを手に取ってみることをオススメします。