痛風であるとか、痛風予備軍と言われる人が真っ先に改善を促されるものに「食事」があります。
そう、痛風と言うには糖尿病と同じくらい、食事で病状がコントロールされる病気なのです。
というのも、痛風とはそもそも血中の尿酸値が高くなり、体内に尿酸血症ができることで痛みが起こる病気だからなのですね。
つまり、尿酸値をコントロールできれば(低く抑えることができれば)痛風の痛みである「痛風発作」が抑えられるようになるのです。
では、今現在、すでに痛風で悩んでいる人にも、痛風予備軍と言われる人にも使える「食事改善ポイント」についてご紹介していきます。
振り返ってみよう!どんな食生活が痛風を招きましたか?
日本人に痛風患者が増えたのは1960年代以降とされています。
これは終戦と高度経済成長で、日本人の食事が一気に欧米化したことと深く関わりがあるとされているのです。
ではなぜ欧米化した食事が痛風と招いたかというと、欧米の人が普段からよく食べている動物性タンパク質が尿酸を増やすことに繋がっているからなのです。
欧米の痛風患者と痛風ではない人を対象にしたある調査では、肉やシーフードを日常的に多く食べている人ほど痛風になりやすく、乳製品(特に低脂肪乳)を頻繁に摂っている人ほど痛風になりにくいという結果が出ました。
乳製品と言うのは尿酸値を下げる効果があります。
しかしながらもともと日本人は乳製品を摂る習慣が少なかったことに加え、尿酸値を上げやすい動物性タンパク質を摂る機会はグンと増えたので、相乗効果的に痛風患者や予備群が増えたと言っても過言ではないでしょう。
こうしたことを頭において、あなたの日常生活や食生活を振り返ってみてください…そこには尿酸値を上げやすいポイントがいくつも転がっていませんか…?
痛風になりやすい食生活
こんな食生活はNGその1:脂肪分の多い食べ物を良く食べる
動物性タンパク質である肉を始め、ジャンクフードやスナック菓子なども尿酸値を上げますよ。
こんな食生活はNGその2:乳製品をほとんど摂らない
先にご紹介したように、乳製品は尿酸値を下げる効果があります。
低脂肪乳と限定すると「低脂肪乳は飲んでいない」と言う人も多いと思いますが、ふつうの牛乳でもヨーグルトでも良いので、自分が1番摂取しやすい乳製品を少しでも食べることは大切なのです。
こんな食生活はNGその3:ビールを飲む機会が多い
実はビールと言うのは、今まで指摘されまくっていたほど、痛風にとって影響が大きい食材ではないとわかってきています。
しかしそれでも、アルコールの中ではプリン体が多い種類のものであることには変わりはなく、飲む機会が多い人ほど痛風のリスクが上がっているのは紛れもない事実なので、飲み過ぎには注意したいものではあります。
薬やサプリによって尿酸を上げていたケース!
あまり知られていないことなのですが、日常的な食生活だけでなく、人によっては薬が原因で尿酸値が上がっている人もいます。
具体的には利尿剤やぜんそくの薬が原因で尿酸値が上がることは調査の結果として、そうした事例があることが報告されています。
他にも、サプリメントなどでは、DHAやRNAと言った「核酸」を多く含んだ健康食品も尿酸を上げる働きがあることが分かっています。
つまり、健康を思って摂取していたものが、逆にあなたの健康を脅かすことになっていた場合もあるのです。
ただ、そうしたサプリが悪いのかと言えばそんなことはありません。
摂取するにしても、その成分が自分にとって過剰にならないように、他の食品からDHAやRNAを摂取したな、と言う日はサプリを控えるなど臨機応変に対応をすれば良いのです。
痛風を改善するための食事とは?
これまでにご紹介してきたように、痛風に引き起こしてしまうポイントには「動物性タンパク質の過剰摂取」や「乳製品の摂らなさすぎ」、「アルコールの過剰摂取」などが挙げられます。
それでは、痛風になった場合、こうした点に注意をしながら、具体的にはどのように気を付ければ痛風を改善できる食事が摂れるのでしょうか?
プリン体を多く含む食事はやはり痛風にはNG
実は、正直な話をすると、尿酸については食事から摂取する量を制限するより、体内で生成される量を少なくするようにした方が大切です。
ただ、そもそも尿酸値が高い痛風患者の人や、これから痛風発作が起こるかもしれない痛風予備軍の人については、やはり体外からのプリン体の摂取を抑えることは痛風発作の予防にとtても大事なことになります。
高い尿酸値をコントロールしたいと思っているあなたが特に気を付けるべき食材は次のようなものです。
- 鮟肝、レバー、モツ…いわゆる動物の内臓系の食べ物
- 白子、魚卵…核酸が多く含まれているような食べ物
- 牛肉ヒレ、ロース…動物性タンパク質でも特に牛肉や、豚肉の脂肪分の多い部分
- えび、かにみそ…甲殻類系の食べ物
こうした食べ物は、日常的に摂る機会があり、しかもプリン体が特に多めの食材です。
アルコールを飲む機会が多い人や、外食が多い人はこうした食材が使われた食事を摂り過ぎることがないように、メニューをしっかり選ぶ必要があります。
食材からプリン体を減らして痛風を予防するには?
もしあなた自身が尿酸のコントロールをしたいと思っているなら、また家族に痛風の人や予備軍の人がいて、食事から少しでもプリン体を取り除きたいと思っているのであれば、調理の際に次のような点に気を付けてみてください。
プリン体を減らす方法:魚は内臓を取り除く
魚は内臓を取り除いて調理をする場合がほとんどですが、さんまの塩焼きなど、ハラワタを残してそのワタを食べる時もあります。
しかしこうした魚の内臓というのは、やはりプリン体が多く含まれているので、できるだけ魚のハラワタは取り除くようにしてください。
形が違ってもプリン体を含むことはお忘れなく
イワシと言う魚はプリン体を多く含む魚の1種なのですが、ちょっと忘れがちなのが、「形が違うとイワシと思わなくなってしまう」ことなのです。
例えば目刺しや煮干し、しらす干しにちりめんじゃこ、アンチョビにオイルサーディンも全て「イワシ」です。
目刺しや丸干しくらいならまだイワシだとわかって避けることができても、しらす干しやちりめんじゃこになると、イワシだと意識せずに食べる人も少なくありません。
しかもイタリアンでアンチョビとなると、イワシだという意識は全くなく食べる人も多くいます。
さらには、懐石料理やラーメンのだしなどでイワシの出汁が使われていると、これは魚の形すらないのでイワシが使われていることすら知らずに毎日口にしている可能性もあるのです。
食材としてプリン体の多い食材を知ったら、自分が普段食べている食事に、そうしたプリン体の多い食材が使われていないかを調べるのも大事ですよ。
プリン体は水溶性
上のイワシのところで出汁のお話を少ししたのですが、プリン体と言うのは水溶性です。
ですから、プリン体を減らすためには、肉や魚は茹で汁を捨てることでプリン体を減らすことができることもあります。
出汁などにプリン体を多く含む食材が使われている時は(先にご紹介したイワシのように)、出汁までは飲まないとか、ラーメンであればスープまでは飲まないといった我慢が必要ですよ。
体内での尿酸の産生を抑えて痛風を予防するには
体外からのプリン体の摂取は「プリン体を多く含む食材を控える」という方法で避けることができます。
しかし、体内で尿酸を産生することを抑えるには、プリン体を含む食材を控えるだけではOKとはいきません。
尿酸の生成を抑える方法1:果糖を摂り過ぎないこと
実は果物に多く含まれる「果糖」には、尿酸の産生を促進させてしまう働きがあります。
ですから、果物を食べる際には注意が必要になりますし、通常の砂糖にも果糖は半分含まれているので、とにかく果糖や砂糖の過剰摂取は控えた方が無難です。
尿酸の生成を抑える方法2:水分を充分に摂ること
これは単純な話ですが、水分を多く摂って尿量を増やすことで、尿酸は排出されやすくなります。
水分をたくさん摂れば尿中の尿酸を薄めるようにすることができるというわけです。
目安としては1日に2リットル以上の水分を摂取することが望ましいとされています。
もちろんこの水分はアルコールや清涼飲料水などではなく、水や麦茶、ほうじ茶などがおすすめです。
尿酸の生成を抑える方法3:尿をアルカリ性に近づけること
尿酸は水に溶けにくい性質を持っているのですが、酸性の物質なので、中性や特にアルカリ性寄りのものには良く溶けます。
ですから、海藻や野菜で尿をアルカリ性に寄せておくのは大事なポイントです。
尿酸の生成を抑える方法4:サプリなどの栄養補助食品を上手に利用する
最近は尿酸値を下げる効果が認められた「アンセリン」という物質が配合されたサプリメントが市場に出るようになりました。
痛風における尿酸値を下げる効果を得るには、最低でも3か月はこうしたサプリを飲み続けることがおすすめなのですが、特に予備軍などで、まだ痛風発作が起きたことtがない人は、継続的にこうしたサプリを飲んで尿酸値をコントロールするのも一つの方法です。
痛風予防のために気をつけたい食べ物は?
このページの最後に、痛風予防として気を付けたい食材を、主食に使う食材、おかずで使いやすい食材に分けてご紹介します。
(100g中でプリン体含有量の多い食材をご紹介します)
主食にしやすい食材でプリン体が多いもの
- そば粉…75.9mg/100g
- 大麦…44.3mg/100g
- 玄米…37.4mg/100g
※ちなみに日本人の主食である白米のプリン体含有量は25.9mg/100gです。
おかずにしやすい食材でプリン体が多いもの
- 干しシイタケ…379.5mg/100g
- ヒラタケ…142.3mg/100g
- ブロッコリースプラウト…129.6mg/100g
- マイタケ…98.5mg/100g
- サラミ…120.4mg/100g
- 煮干し…746.1mg/100g
- 鰹節…493.3mg/100g
- マイワシ…305.7mg/100g
- 鮟肝(酒蒸し)…399.2mg/100g
- 豚レバー…284.8mg/100g
- 牛レバー…219.8mg/100g
- 鶏レバー…312.2mg/100g
- 大正エビ…273.2mg/100g
- カツオ…211.4mg/100g
- ニジマス…180.9mg/100g
- 明太子…159.3mg/100g
- 生ハム…138.3mg/100g
嗜好品にしやすい食材でプリン体が多いもの
- 紹興酒…11.6mg/100ml
- ビール(各社平均)…5.1mg/100ml
※意外にもビールよりも紹興酒のほうがプリン体が多いんです。
いかがでしょうか?普段よく口にしているものや主食でよく食べているものでプリン体の削減に気を付けられそうなものはありましたか?
そして蕎麦なども健康的な感じがする質素な食事に思えますが、実際のところはプリン体を多く含んでいるのですね。
食事におけるプリン体も、気にし過ぎると楽しい食事の機会が奪われてしまいますが、日常的に気を付けられることがあるなら、少しずつでも気を付けて尿酸値を抑えていきたいですよね。、
特にオススメしたいのはサプリメント習慣です。
ちょっとプリン体を摂りすぎてしまったと思ったときでも上手に活用することで、健康習慣の補助となってくれます。
毎日続けられるものですし、食事からのプリン体を気にするあなたをサポートしてくれるので、ぜひ一度試してみてくださいね。