痛風発作の起きる部位で1番多いのは「足の親指の付け根」と言われています。
これは統計上からも明らかで、痛風の痛みが出てくる部位は7割が下半身と言われているのです。
しかし、実は痛風の痛みが出てくるのは下半身に限ったことではなく、思いがけない部分にも痛風の痛みは発現したりします。
今回は痛風の痛みについての判断チェックリスト、そしてその痛みが出てくる部位についてご紹介していき、最後に痛風と間違えやすい別の病気についても詳しく解説していきます。
この記事を読んでいただければ
- 足の親指に激しい痛みが出たので痛風かどうか確認したい
- 足の親指以外に痛みが出たけど、激しい痛みなので痛風じゃないかと考えている
- 痛風の症状が現れる部位にはどんなものがあるのか
- 痛風が発症して進行しているため、ほかにどんな部位に痛みが出る可能性があるのか知っておきたい
こんな疑問クリアになり、よくわかる知識をポイントをおさえながら得ることができます。
ぜひ読み進めてみてくださいね。
痛風の痛みが現れる部位で7割近くは足の親指!
痛風の痛みは痛風発作が引き起こされることによって起きるのですが、この痛風発作が発生する頻度として一番高いのが足の親指の付け根で、全体の7割近くを占めています。
そのため、足の親指の付け根に痛みが起きた場合はまず痛風を疑うことになりますが、それ以外の部位に出てきた場合はどのように判断すればいいのかに困りますね。
もちろん一番いいのは少しでも早く病院に行って診断してもらうことであることは間違いありません。
それが難しい方や、しっかりと事前に知っておきたいという方、痛風発作を繰り返してしまっている方のために少し遠回りにはなりますが、ここから痛風の痛みについてのチェックポイントを解説していきたいと思います。
これは痛風?まずは痛風の痛みについて知ろう!
痛風はその名の通り、風が吹くだけでも痛いというところから名前が付いているほど「痛み」と関係の深い疾患です。
脅かすわけではありませんが、痛風の痛みの例えを知ることで痛風予防に励んでいただきたい…ということで、痛風経験者が語る痛風の痛みについてご紹介します。
- 心臓の鼓動がするたび、血液が贈りだされるたびに痛みが起こる!
- 骨折した足を車で轢かれてるんじゃない?!というくらいの激痛。
- 万力などの道具で足の指が潰されていくような痛みだった。ピーク時の痛みの時は失神した。
- 傷口にキリを差し込んでグリグリされているような痛み。冷や汗・脂汗どころの騒ぎじゃない。
- 痛みのある箇所に、溶けた金属を流し込まれているような痛さ。想像を絶した。
いかがだったでしょうか?
痛風の痛みがかなりのレベルのものであることは、こうした経験者の談から多少なりとも想像できますよね。
ただ、経験者の談をまとめてみると、「強烈な圧痛」「強烈な穿痛」というのが合わさった様な痛みと表現する人が多いように思います。
そのため、体に激しい痛みが出た=痛風とすぐに考えてしまう人も多いのもうなづけますね。
ですが、実際はそうではないケースも少数ながら存在するため注意が必要です。
まだ痛風を発症したことがない方は痛風の痛みを知らないかと思うので、とにかく激痛だと痛風だと勘違いしてしまうこともあるようです。
また、すでに痛風を発症したことがある方だと痛風の痛みについて既に体験しているため判断はしやすいですが、痛風同時に別の病気を併発させてしまっていて痛みが出ているということもあります。
なので、ここからは痛風について復習も兼ねてかんたんな説明を交えながら、今起きている痛みが痛風かどうかを判断するための材料になる情報をお伝えしていきます。
痛風の痛みは「尿酸結晶」そのものが原因ではない?
痛風の痛みの原因は痛みを発症している患部に溜まった「尿酸結晶」だと言われていることが多いのですが、もっと詳しく突き詰めるとこの言い方は少しだけずれています。
というのは、この尿酸結晶というのは、結石などのように、「直接」、「痛みの箇所を」「刺激している」というわけではないからです。
例えば結石の痛みというのも強い痛みがある疾患の中では相当上位だと言われているのですが、この痛みの原因はまさに「結石」が管を通る際に周囲を傷つけたりすることで起こる痛みなのです。
しかし、こと痛風については、血中の尿酸結晶が物理的に血管を傷つけているから炎症が起きて痛みが生じているというわけではないのです。
痛風の炎症(足の親指の痛みの原因)はなぜ起こる?
では、痛風の原因となる尿酸はどうして炎症を起こしてしまうのでしょうか?
これは簡単に言うと「関節に蓄積された尿酸ナトリウムというものの結晶が『白血球』と結合することで炎症を引き起こしている」と表現できます。
もう少し詳しいメカニズムをご紹介すると、次のようになります。
- 長年の生活習慣・食事習慣で体内の血中尿酸値が高い状態が続く
- 身体の組織や関節内に尿酸結晶ができる
- 尿酸結晶は、炎症を活性化させる「ケミカルメディエーター」を活性化する
- 一方で、尿酸結晶は身体にとって異物なので、白血球に食べられる ←これこそが「炎症」
- 異物を食べた白血球はエネルギーを消費。この時、エネルギーを消費した箇所は酸性化するので、尿酸が一層結晶化しやすくなる
- 悪循環が続く……
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つまり、痛風の炎症と言うのは、身体にとっての異物(尿酸)を白血球が食べた時に、その部分が酸性化することを指しているのです。
このことについては当サイトの痛風の原因の記事の方で詳しく掘り下げますので、お時間がある時にぜひ読んでみてください。
この記事では痛風の原因についてはこれ以上は深堀りせずに、本題である痛風の痛みが発症しやすい部位や場所について詳しく解説していきます。
痛風で痛みがでやすい部位はどこ??
ここまでにご紹介してきた通り、痛風の痛みが起きる場所というのは、発症メカニズムから考えると身体中どこの場所でも起こりえます。
ただ、中でもやはり炎症が起きやすい場所というのはあって、その炎症が起きやすいポイントというのは次のようになります。
- 温度が低い部位
- 動かすとか重さがかかるなど「負担のかかりやすい部位」
- 酸性度合の高い部位
- 力学的刺激を受けやすい部位
- 血流のめぐりが悪くなりやすい部位
- たんぱく質の少ない部位
こうした条件に合うのが、身体の中では下半身によくあるので、先述したとおり痛風の痛みが生じる部位の7割強が下半身と言われており、膝から下だけでいうともっと割合が上がり全体の9割となっています。
中でも、痛風の痛み=足の親指付け根の痛みと言われるくらい定番の「足の親指の付け根」に痛みが生じる人は、下半身に痛みが出た人のうち約9割!つまりほとんどを占めていると言われています。
つまり、痛風患者の中で8割近くは足の親指の付け根にまず初めに痛みを発症するということになります。
足の親指以外に、下半身の中で痛みが出やすいのは、「かかと・足の甲・くるぶし・足首、足の各関節・アキレス腱」などです。
しかし、全ての人が下半身に痛みを生じさせるわけではなく、中には「ひじ・手首・手の指」などに痛みが生じる人もいます。
さらに、温度が低くなりやすくたんぱく質の少ない部位ということで、耳たぶは「痛風結節」ができる部位としてよく知られています。
一方、股関節や肩関節などの大きくて深い部分にある関節には通常痛風発作は起きないケースがほとんどです。
また、痛風と同時に尿路結石に悩んでいる人も非常に多いです。
血中尿酸値の高い状態が続いていると、尿酸結石ができてしまい、腎臓から尿管にかけて尿路結石ができてしまうことが少なくないためです。
痛風の痛みも「痛みレベル」で結構上位になる痛みなのに、これに結石の痛みも加わると弱り目に祟り目です。
「すでに尿路結石も併発していて死にそうな痛みに苦しんでるよ!」という方は、一度結石の痛みを和らげる方法にも目を通して参考にしてみてください。
どうか痛風発作が起きたら、もしくは尿酸値が高いと診断されたら安心せずにその時点で適切な痛風の治療に取り組むようにしてくださいね。
痛風発作と並行して起こる痛み
痛風の痛みは多くが下半身に起きるとご紹介してきましたが、少数派でも手の指やひじなどの関節に痛みが生じる人もいます。
そして、この痛風の発作というのは「炎症」が起きているから生じている痛みなので、その炎症由来で頭痛や発熱を伴う場合もあります。
幸運(?)にも痛風発作がそこまで激しくなかった場合は、痛風発作と一緒に熱や頭痛があったことから、インフルエンザと間違ってしまうこともあります。
また、炎症を起こした部分は赤く腫れることもあるので、そうした症状からすぐに「痛風」と思い至らないこともあるようです。
しかし、以前に血中尿酸値が高いと指摘されたことがある人はやはり痛風の可能性が高くなるので、速やかにかかりつけの内科医を訪ねることをおすすめします。
痛みのレベルは発症場所によって違う?
痛風が全身のいたる所に痛みをもたらすことがあるということはここまでご説明してきた通りですが、発症場所によって痛みに違いはあるのでしょうか?
例えば、肩だとあまり痛くないけど下半身ほど痛いとかですね。
結論から言うと、発症場所によって痛みの度合いは変わりません。どこに発症したとしても強烈でもんどり打って転げまわりたくなるような痛みを伴います。
ただし、その進行度合いによっても痛みの程度はある程度変わってくることはあるようです。
というのも、痛風というのは患部に溜まった尿酸結晶を白血球が攻撃することで炎症を起こしているというものになるので、この「炎症」がどれくらいひどいかによって痛みが変わってきます。
なので、発症する箇所が変わると何かが違うのかというと違いはありません。発症箇所の違いには大きな意味はないと言えるでしょう。
体を動かしてみたり、体位を変えたりすることで痛みを緩和するということができるというレベルのものではなく、冷や汗が次から次へとあふれ出てきて歩くことも動くこともできなくなってしまいます。
痛風発作は繰り返すほどに症状・痛みともに悪化していく!
痛風発作は治療に際する尿酸値の大きな変動によって引き起こされる場合を除いて、ほとんどは高尿酸血症が原因となって引き起こされています。
体の状態が「痛風が起きやすい状態」になってしまっているというということですね。
怖いのが、この状態が続いていても自分では自覚症状がないために気が付けないということになります。
痛風発作が起きて初めて「あぁ、尿酸値が高かったんだな…」と気づいてもその時には時すでに遅しですよね。
痛風を発症したらそこからは一生涯かけて痛風発作が起きてしまうのを防いでいくための施策を行っていく必要が生じます。
痛風を正しく治療しないまま繰り返し発症しどんどん症状が進行していくことで、全身のいたる所に尿酸結晶が溜まり、足の親指以外の部位に「炎症、腫れ、痛み」などの痛風の賞状が発症するというケースがあります。
例えばですが、足の親指の次に足首が炎症を起こしてしまい、次に足の甲まで腫れてきて炎症による熱を持ち、どんどん広がっていき足全体が常に激痛に襲われているというような恐ろしい事態まで陥ってしまうこともあるのです。
こういった状況にまでなってしまうと、尿酸結晶が腎臓の機能を犯しはじめ腎障害を発症し、ひどいケースだと腎不全に陥り人工透析を余儀なくされる場合もあります。
最悪の場合は心臓にまでこれがおよび死に至るといった事例が0ではないこともお伝えしておきます。
なので、痛風とは根気強く向き合って改善のために続けて治療を行っていく必要があるのです。
痛風の再発を防ぐためにどうしていくべきかはこちらのページで詳しく紹介しています。
最初に足の親指に痛風を発症し、その後別の部位にも痛風らしき症状が現れてきたという方は危険信号が点滅しているので、少しでも早く対策をとるようにしましょう。
痛風ではない?痛みがある色々な疾患
痛風のような痛みが出るにも関わらず、痛風ではないという疾患の代表的なものは「
これは名前にあると通り、痛風に症状が似ているけれど別の疾患です。
ここからは、痛風かと思いきや実は痛風ではなかった!という疾患についていくつかご紹介します。
痛風に似ている病気 1:偽痛風(ぎつうふう)
関節の腫れ・痛み・発赤・熱感が主な症状としてでてくる疾患です。
痛風と異なり、男女の差や年代に関わらず症状が出ることが多いとされています。
症状は多くの人の報告によると、膝に最初に出てくることが多いと言うことです。
痛風に似ている病気 2:変形性関節症
これは加齢が主な原因で、軟骨が変形し痛みが生じる疾患です。
痛みが出るのは、歩き始めの「最初の1歩」を踏み出す時とよく言われていますが、痛む部位が炎症を起こすというようなことはないようです。
ただ、関節が変形してしまうことで、痛みの度合いは強く、変形による炎症が生じ始めると痛風発作に似たような痛みが生じると言われています。
痛風に似ている病気 3:蜂窩織炎(ほうかしきえん)
皮下の部位に細菌が感染し、そのために患部が腫れあがる疾患です。
患部は熱を持ち、動かすことにも痛みを生じるようになります。抗生物質の投与で治るので、原因不明で皮下が腫れた時は一先ず皮膚科を受診してください。
痛風に似ている病気 4:変形性腰椎症
変形性腰椎症になると、足に痛みやしびれが生じることがあります。
痛風かと思って受診すると、腰椎が変形していると指摘を受けることが多いようです。
痛風に似ている病気 5:回帰性リウマチ
急な関節の腫れが生じるので、痛風を疑って受診する人が多い疾患の1つです。
原因については未解明ですが、疾患を発症する男女差・年代差はあまり差がないようです。
尿検査で血清尿酸値がたまたま高い人がいると、医師ですら痛風と間違えることもあるほど症状が似ているという疾患です。
痛風に似ている病気 6:線維筋痛症
あまり知られている疾患ではありませんが、痛みによって大変生活が困難になる疾患です。
主症状は関節や筋肉、腱などに慢性的な痛みとこわばりを感じることがよく挙げられます。
身体の広範囲にわたって(時には全身くまなく)痛みを感じることもあるのですが、外見的な「しんどさ」が見えにくいため、生活をする上で不利な状況になることが多くあります。
年齢層としては中年以降の女性に好発しますが、全年代・男女に関係なく発症する自己免疫疾患系の病気です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
急に痛みに襲われた場合に、「痛風予備軍」として医師から注意をするように促されていた場合には、痛風と判断して間違いないことがほとんどですが、食生活にも気をつけていて、痛風になるような覚えがないという場合には、一度しっかりとお医者さんに診てもらうようにしましょう。
これはどう考えても痛風だという場合には、医療機関での治療と並行して、サプリメントで体質から「痛風が再発しづらい体」を目指していくというような「自分でできる対策」も重要ですよ。