痛風の治療というのは例えば1週間行えば元に戻る…というものではありません。
冒頭からちょっと厳しい話ですが、痛風=高尿酸血症の状態というのは、コントロールをしながら一生付き合っていくことになるものなのです。
ただ、だからと言ってずっと通院すべきかと言うとそういうわけではなく、自分で生活を正すことで通院や投薬は一生必要というわけではありません。
しかし、痛風は発作時の薬や治療に関しては色々と情報もあるのですが、生涯にわたってどのような注意や治療が必要であるかはあまり知られていません。
というわけで、今回は痛風の治療の期間や費用について詳しくご紹介していきます。
この記事を読んでいただくことで
- 痛風の治療にはどれくらいの期間が必要なのか?
- 痛風の治療に毎月いくら位かかるものなのか?
- 痛風を改善するためにはどんなことに気を付けておけばいいのか
これらのことがわかります。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
痛みが治まればOKではなかった…!痛風の治療と期間について
尿酸値が高めの状態の時に残念ながら気づかずにそのままの生活を続けてしまい、痛風発作が起こってしまった場合、痛風の治療はここから始まることになります。
痛風発作が起こっても「この痛みはいずれ引くから」と病院に行かない人もいますが、それは痛風を悪化させるだけであって改善はできません。
また、痛風というのは発作が一旦落ち着いている間はあの時の痛みなんて忘れてしまうくらい症状が落ち着きます。
そのため、痛み止めさえ処方してもらえばあとは何とかなるんじゃないかという考えを持ってしまう人もいるようですが、これは大きな間違いです。
もし痛風発作が起こったら、そこからでも構わないので医師の指導の下、しっかり治療を進めていくことが大切です。
痛風の治療には一般的にどのくらいの期間必要なの?
一般的に痛風発作そのものは自然に任せておいて1~2週間程度痛みが続くことになりますが、病院で痛み止めの薬を処方してもらうと3~4日程度で痛み自体は治まることが多いので、痛みに対する治療というのも基本的にはこうした「痛みのある期間」になることが多いです。
つまり、痛み止めを飲む期間というのは3日程度から長くて1週間程度ということになるということですね。
この際に使われる薬はロキソプロフェンやジクロフェナクナトリウムなどの非ステロイド系のお薬である場合が多いです。
その後、痛みが治まったら尿酸値を下げる治療が始まりますが、この尿酸値を下げる治療と言うのは状態を見ながら少しずつ続けるので、すぐに通院が終わるということはありません。
ちょくちょく病院に行くことはありませんが、一定のスパンで通院して、投薬を続けてあり尿酸値を計測して様子を見たりということをします。
痛風の原因となっている「高尿酸血症」の状態というのは、食生活や生活習慣の影響を2~3割程度受けていると考えられています。
その他7~8割の原因が尿中の尿酸を排出する機能の低下や、尿酸の産生が過剰になることと言われています。
ですから、痛風発作があって病院にいかず、自力で食生活や生活習慣を改善するだけではなかなか尿酸値を正常範囲にとどめ続けることは難しいのですね。
厳密な食事療法などで下げられる尿酸値は1mg/dl前後と言われていて、痛風発作が起きるような人は、尿酸値がすでに9mg/dlを超えていることが多いので、食事療法で1mg/dl程度を下げただけでが基準範囲には届かないんですね。
こうしたことから、痛風発作が起きたような人は、速やかに病院に行き、医師の指導を受けた方が早く尿酸値を下げることができます。
痛風発作が治まって、尿酸値を下げる投薬治療が始まったら、急激に尿酸値を下げるのはかえって危険なので、大体2ヶ月程度の投薬と食事療法で徐々に尿酸値を下げていきます。
ただし、見かけ上の尿酸値が下がっても、関節にはすでに尿酸塩結晶が出来ていて、尿酸値が6.0mg/dl以下でコントロールできるようになって初めて、これらすでにできていた尿酸塩血症が溶けてくることになります。
この尿酸塩結晶が溶けてなくなるまでは1~2年程度かかるので、痛風発作から2年は尿酸値が落ち着いていても医師と相談しながらしっかり尿酸をコントロールする必要があるのです。
尿酸値を下げる薬はどのくらいの期間飲めばいい?
痛風と言うのは基本的に生涯付き合うことになる疾患ですが、尿酸値をコントロールするために処方される「尿酸降下薬」の服用と言うのも長期間必要と言う方針をとる医師がほとんどです。
尿酸を下げるために使用される代表的な薬である「ユリノーム」や「ザイロック」は現在のところ、長期間にわたり安全に服用できる薬ということになっています。
こうした薬の服用を続けて、血清尿酸値が6.0mg/dl以下を維持できるようになり、ユリノームで12.5mg、ザイロリックで50mgくらいまで投薬量を減量しても尿酸値が4.0mg/dlや5.0mg/dl程度に抑えられるくらいになったら、薬を減量することも可能になります。
それまでの期間は1~2年程度となるので、投薬期間も同じく1年~2年程度続くと思っておいた方がいいでしょう。
尿酸値を下げる薬に関しては、尿の排泄を助けて高まっている尿酸値を尿とともに排出して下げる「尿酸排泄促進薬」と、体内で尿酸が新しく生成されるのを抑えてくれる「尿酸生成抑制薬」がありますが、これらの薬の使い分けについては尿酸値を下げる薬のページで紹介していますので、詳しく知りたい場合は読んでみてください。
「かなり長いな…病院に定期的に通って薬をもらうのが大変そうだな」と感じたのではないでしょうか。
痛風とは一度罹患してしまうと、本当に大変な病気なんです。なので普段から食事習慣や生活習慣を正して尿酸値を正常値の範囲内に抑えるということが何よりも大切になってくるんです。
痛風の治療にはどのくらいの費用がかかる?
痛風は生涯付き合うことになる疾患なので、1回の治療費がとても高くては生活がしんどいですよね。
そんな「治療費」のことを考えて、病院に行くことがためらわれてしまっては痛風も高尿酸値もよくなりません。
では痛風の治療にかかる費用は一般的にどのくらいなのでしょうか?
痛風治療の費用には保険が適用される
痛風の治療は「疾患」に対する治療なので、保険に入っていれば保険が普通に適用される疾患です。
初診料がかかる月を除けば、大体1回の通院で3000円~高くて5000円程度が相場ですね(※保険適用後の自己負担額)。
ただ、長期間の治療になるので、もし1ヶ月に1回の通院でも2年続けば5000~7000円×24か月=12万円~168000円と高額になってきます。
ですから、痛風にならないように、高尿酸値と指摘を受けている時点で医師の指導を仰ぎ、尿酸値をコントロールするようにしていくことが大切なのですね。
ある痛風患者の治療費の内訳をみると
- 痛風発作で初めて訪れた病院での費用
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- 初診料…3000円程度
- 指導管理料…1500円程度
- 投薬量6000円程度
- 検査料4500円程度
合計:初診料3000円(保険適用外)+12000円程度→自己負担額6600円程度
- 同じ病院への再診で訪れた時の費用
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- 再診料…1000円程度
- 指導管理料…1500円程度
- 投薬量6000円程度
- 検査料4500円程度
合計:初診料1000円(保険適用外)+12000円程度→自己負担額4600円程度
以上のようになっていました。
これを見ると、いずれにせよ自己負担は5000円弱~7000円程度見積もっていると良いと言った感じなので、痛風の治療に向かう際はこうした心づもりで行くと良いですね。
痛風だと気づくのは発作が起こってから!常に予防を心掛けよう!
年に1回でも定期健診を受けていると言う人は、そこで「尿酸値が高いですよ~」と指摘されることで「自分は尿酸値が高いのか~痛風になったりしないかな」と気づくことができます。
ただ、こうした定期健診で尿酸値の高さを指摘をされても実際には痛風発作が起こるまでは痛風は症状があるわけではないので「本気で」生活を正す人は少ないのが現状です。
基準値を超えていないにしても、尿酸値が基準値ギリギリにある人は、すでに「痛風が始まっている」と考えた方が良いでしょう。
というのも、痛みなどが起きてなくても尿酸値が高いということは「高尿酸血症」が始まっていること言って過言ではないからです。
痛風は高尿酸血症の延長線上の話ですからね。
ではまだ「尿酸結晶が高め」の時に何をすれば良いのかということを少しお話します。
「高尿酸血症の初期」でやるべき予防策とは?
ここでは痛風の原因については説明を省きますので、痛風の原因について詳しく知りたい方は痛風の原因の記事にも目を通してみてください。
慢性化した高尿酸血症ではなく、まだ取り返しがつく時点での「高めの尿酸値」の時期には、食生活と生活習慣を正すことで尿酸値を標準に戻すことは可能です。
ここからは痛風発作が起きてしまうのに役立つ食生活や生活習慣について解説していきたいと思います。
既に痛風を発症してしまっていて、予防策よりも病院での痛風の治療の内容について知りたい方は痛風の治療内容についての記事を読んでみてください。
痛風予防のために その1:食生活で大切にすること
高めの尿酸値の頃に気を付けるのは「アルコールの摂取を控える」「水分をしっかり摂る」「プリン体の多い食べ物を控える」「アンセリンなど尿酸をコントロールできるサプリを飲む」などがあります。
アルコールの摂取は「ビールじゃなければ良いのでしょ?」と思われがちですが、アルコールと言うのは肝臓がアルコールを分解する時に尿酸が産生されます。
ですから、アルコールと言うのはプリン体が多いと言われるビールでなくても、過剰な摂取はすぐにでも控える方向で考えるのが吉です。
また、尿酸を適切に体外へ排出するためには水分をしっかりと摂取することは欠かせません。
目安は1日1.5リットルの水分ですが、できたら2リットル以上の水分を摂るのが理想とされています。
これももちろん、水やお茶で水分を摂るべきで、清涼飲料水や甘味飲料水は避けましょう。
水分をしっかりと取ると言うのは、尿酸値が高めの人にとっては痛風発作を起こさないこと以外にも良いことがあります。
それは「尿酸結石を防げる」ということです。
尿酸値が高めの人というのは、過剰な尿酸が結石を作ることがあるので、充分な水分を摂ることはこの尿酸結石の成長を防ぐことができるのです。
そして、やはりプリン体の多い食材の摂取を避けることと、尿酸排出を促すために有効なサプリを飲むことは尿酸値を抑えることに有効な手段となります。
尿酸の排出を促したり、産生の抑制をする効果がある、いわゆる「痛風に効果がある」と言われるサプリには「アンセリン」という物質を含んだものが多いのですが、この「アンセリン」は尿酸のコントロールに効果のある物質として近年注目を集めている物質です。
どうしても生活習慣(朝早く夜遅いとか、食事が頑張っても外食になりがちだとか)を変えにくいと言う人はこうしたサプリメントを積極的に摂取するようにして痛風の予防に努めましょう。
痛風予防のために その2:生活習慣で大切にすること
尿酸値を抑制するために食生活で気を付けることは色々と情報もありますが、尿酸値を抑えるために生活習慣として気を付けることというのももちろんあります。
尿酸値を抑えるために生活習慣で気を付けることで意外なことは「激しい運動を避けること」というのがあります。
痛風の原因についての記事でも解説していますが、実は激しい運動をすると、一時的に尿酸値が上昇します。
その時にアルコールを過剰に摂取するとか、プリン体の多いものを摂取すると、高まった尿酸値がそのままになりかねません。
ですから、できたら運動をするなら有酸素運動で「激しくない」運動であるウォーキングとか、ゆっくりとした水泳とかのんびりとしたペースのジョギングをすると良いでしょう。
軽い運動は尿酸値コントロールにも大切ですからね。
まとめ
この記事では痛風の治療を行っていく際にかかる期間と費用を解説してきましたが、最後にかんたんにまとめてみます。
痛風治療に必要な期間
- 痛みが止まるまで
- 病院の処方薬(痛み止め)を飲んで3~1週間程度
- 尿酸値を下げ切るまで
- 病院の処方薬(尿酸値を下げる薬)を飲んで1~2年程度
痛風治療にかかる費用
- 月のはじめ・初診料がかかる場合
- 7000円弱
- 再診の場合
- 5000円弱
※痛風の治療は長期に渡るためこれが1~2年続くことになるので、年間で計算すると12万円~16万8000円程度
時間的・金銭的によっぽど余裕がある場合を除き、毎月病院に通うことと、この金額の出費は相当ツラいものがありますね。
なので、「痛風になってしまったら病院に行けばいい」ではなくて、自分でできる予防策を積極的に講じていくのが最も良いということになります。
自分の尿酸値が高いということがすでにわかっているのであれば、サプリメントを日常的に飲んで、痛風を予防していったほうが金銭的にも肉体的にも賢い選択と言えますね。
もちろん、痛風の治療で薬を飲んでいる最中であっても、サプリメントは食品ですので痛風治療薬との併用も全く問題ありません。
痛風を治すためのものではありませんが、食生活のサポートという面では強力にバックアップしてくれるので、まずは当サイトで紹介しているものを一度試してみるといいでしょう。