痛風を治したい、高い尿酸値をどうにかしたい、痛風にはなりたくない……そう思っているあなたが先ずした方が良いこと、それは「痛風について知ること」です。
痛風というものが一体どんなものなのか、どういったことが引き金になるのか、どんな症状があるのか…こうしたことは痛風に対峙していくときの「基礎知識」になります。
ここでは、痛風と言うものについて、知っておくべきことの大筋をご紹介します。
詳細については、各詳細ページを設けていますので、あなたがもっと詳しく知りたいと思う項目に関しては、各ページに併せて目を通していただくとよいでしょう。
痛風と人間の「付き合い」はとっても長い!
痛風は人類の病気のなかでも、最も古くから付き合いのある病気の1つです。
痛風は、人類の病気史上で最も古くから知られている病の1つとされているほど人間との関わりは深いのです。
例えば古代までさかのぼると、古代エジプト文明においてすでに痛風患者がいたとという記述が残っているくらいです。
何とエジプトのミイラの関節には既に痛風の痕跡があったという報告すらあるんですよ!
記録が残っているところでは、紀元前、医学の父とも称されるヒポクラテスによって痛風の報告がされています。
西洋史では、マケドニアのアレクサンダー大王を始めとして、プロシア国王のフリードリヒ大王やフランスのルイ14世、宗教改革者で知られるマルティン・ルターにあのミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチまでもが痛風に苦しめられてきたと言われているようです。
このように痛風は、長い歴史の中で常に人類を悩ませてきました。
人類以外にも白亜紀の恐竜であるティラノサウルスまでも痛風を患っていたと言われているほど、痛風自体の歴史は長いのです。本当に驚きですよね。
ただ一方で、日本人と痛風の歴史を振り返ると、日本では痛風と言う病気は明治以前はほとんどなかったのではないかと言われているのです。
安土桃山時代に日本を訪れたポルトガル人宣教師のルイス・フロイスの残した記録によると、ナント日本人には痛風はない!と書かれています。
明治初期に日本に滞在したドイツ人医師のベルツも「日本人には痛風患者がいない」と記しているのですよ。
しかしながら、「痛風」と公式に残された記録がないだけで、全く患者がいなかったとは言えません。
特に富裕層の間では江戸時代くらいには、それなりに痛風患者はいたであろうとされているのが現代では一般的です。
ただ実際に日本史上において公式に痛風が病気として記録されるのは明治中期以降で、実際に患者が急増したのは1960年代以降からなのです。
日本では痛風って実はまだ50年程度の付き合いという病気なんですね。ちょっと意外な気もしますよね。
と言うのも、現代では日本国内の痛風の患者数は全国で80万人を超えるとされており、予備軍も含めるとなんと500万人以上が痛風と関わりがあるとされているのです。
この50年で日本人にとっても痛風はすっかり「よくある病気」「身近な病気」の1つになってしまっていますよね。
そもそも日本人と痛風はどんな関係なの?
世界的に「日本食」=「和食」がブームになっていますよね。
日本食というのはやはり「質素で健康的」というイメージがあるためにブームになっているのですが、ここでブームになっている和食というのは、昔ながらの日本食です。
(最近は日本のラーメンやお寿司、牛丼なんかも外国人旅行客には人気ですが…)
昔ながらの日本食というのは、動物性タンパク質が少なく、野菜が多いのが特徴です。
この「少なめの動物性タンパク質と豊富な野菜」というのは、そのまま痛風を予防したり、痛風の人の療養食になったりするのですが、それはなぜでしょうか。
これは、痛風と言うのがそもそも、動物性タンパク質などに多く含まれる「プリン体」の摂り過ぎで「尿酸値」が高くなることが原因で起こる病気だからです。
尿酸値が高くなるのは、何もプリン体の摂り過ぎだけで起こるわけではないのですが、日常生活のなかで尿酸値の上昇の大きな一因となるのは、やはりこの「プリン体の過剰摂取」なのです。
日本人の痛風患者は少なかった
先の項でご紹介したように、明治に入るまで、もっと言うと1960年代になるまで、日本人にとって痛風はさほど身近な病気ではありませんでした。
それはなぜなのでしょうか?日本人は痛風になりにくい体質だったのでしょうか…?
いいえそんなことはありません。
西洋史上で記録が残る痛風患者の例を見たり、日本で痛風患者が増えたのが1960年代以降ということを読んで、あなたは痛風の原因をすでに察したかもしれませんね。
そう、痛風と言うのは「食生活」や「生活習慣」と深~く関わりのある病気なのです。
痛風になるのはどうして?自然には治らないの?
もともと肉食が普通だった欧米の食事に比べて、日本の食事と言うのは野菜(特に葉物・根菜)が中心の食事でした。
食事傾向というのはそのまま、痛風へのリスクに直結していたので、欧米では昔から痛風患者は少なくなく、歴史上でもかなり昔から痛風に関する記述が残っているというのは先述の通りです。
一方で日本に痛風患者が増え始めたのは、明治に入って肉食文化が普及し始めてからと言われています。
ただ、この明治時代についても、日常的に肉を食べることができるのは一部の富裕層に限った話だったので、痛風と言うのは「贅沢病」とも言われていました。
一般庶民にまで痛風という病気が広まったのは、1960年代、戦後の高度経済成長期になってからというのが事実であるようです。
この経済成長期で、日本人の食生活は一気に欧米化し、肉食が広まり、ビールの消費量も格段に上がりました。
現在では、日本における痛風患者は約87万人、予備軍になると約500万人にもなると言わています。
食事だけが痛風の要因ではない
プリン体を多く摂取することはもちろん痛風の要因になるものですが、現代の日本人についてはプリン体だけが痛風を引き起こす要因とも言えません。
というのも、身体の外から食事として摂取したプリン体を由来とする尿酸よりも、体内の色々なバランス由来で産生される尿酸の方が明らかに多いからです。
中でも、活性酸素が原因で産生される尿酸というのはとても多いと言われています。
ではこの「活性酸素」はどうして体内で増えるのでしょうか?
活性酸素が増える原因で大きな割合を占めるのはナント「ストレス」。
現代の日本社会でストレスフリーで過ごしている人というのは極々わずかではないでしょうか。
多くの人が、仕事や育児、経済的な悩み、人間関係での悩みなど、多くのストレスを抱えて生きています。
こうした過大なストレスが体内の活性酸素を増やし、そしてこの活性酸素が体内の尿酸を増やすことに繋がっているのです。
定期健診などで「尿酸値が高め」と言われている人が、痛風発作を起こしてしまうきっかけの多くは、こうしたストレスだと言われてもいます。
痛風と尿酸値の関係とは?
上の項でも何度か登場していますが、痛風を知るためのキーワードと言えば「尿酸値」です。
というのも、痛風と言うのは血中に尿酸が溜まる「高尿酸血症」の状態が長く続くために起こる関節炎を示す疾患だからです。
逆を言えば、痛風は尿酸値を上手にコントロールできれば、改善することができる疾患とも言えるのです。
血中の尿酸値が高くなるのはなぜ?
痛風の原因は、ここまでに何度もお伝えしてきたように「血中の尿酸値が高いままであること」なのですが、血中の尿酸値が高い状態も2つのタイプに分けられます。
ここから血清尿酸値が上がってしまう原因となる体質的な問題を2つのタイプに分けて掘り下げていきます。
尿酸値が高くなる原因1.尿酸の生産が過剰なタイプ
これは読んで字のごとく、体内で過剰に尿酸を作ってしまうタイプのことです。
尿酸と言うのはどんな人であっても、体内で細胞分裂の時が起こる時に作られてしまうのもです。
しかし、「どうしても作られてしまう最低限」の尿酸ではなく、「何らかの原因で大量に作られる」尿酸は、体外へ排出することもままならず、体内にそのまま溜まっていってしまいます。
こうなると血中の尿酸値が上昇し、尿酸血症ができることで関節に炎症を起こすようになるのです。
ただ、このタイプの痛風患者というのは痛風患者全体の10%に過ぎないと言われています。
尿酸値が高くなる原因2.尿酸の排出が低下しているタイプ
尿酸と言うのは人間が生きている限りどうしてもできてしまう物質ではなりますが、通常、体内で作られた尿酸というのは、尿と一緒に体外へ排出されます。
この尿酸の排出がうまくいかなくなって、血中の尿酸値が上昇しているタイプを「尿酸排出低下型」と呼びます。
尿酸の排出低下と言うのは、痛風患者全体の約60%の人が持っている症状だと言われています。
また、血中の尿酸値が高めになってしまう人の特徴として、そもそも腎臓から尿酸を排出する能力が低いという人も少なからずいます。
痛風の原因についてさらに詳しく解説している記事も用意しているので、時間を作って読んでみてくださいね。
尿酸値のコントロールについて
日本人の痛風患者については、痛風患者全体の約30%が上でご紹介した2つのタイプを併発してると言われています。
あなたの酸値が高めである状態が、たとえこの2つのタイプのどちらかだとしても、またはどちらも併発していたとしても、尿酸の産生と排出のバランスを整えることはとても大切です。
しかし、場合によっては医師の指導で食事改善をし、適度な運動を続けていても高い尿酸値を下げることができなくなることがあります。
この場合は、尿酸のコントロールにも薬物を用いることになりますが、治療で薬物を使用すると簡単に薬をやめて自分で尿酸のコントロールをすることは難しくなります。
ともすれば投薬治療にずっと頼り続けることになりかねないので、できる限り身体に負担がない「サプリメント」などをできる範囲で続けていくほうがいいでしょう。
痛風になりやすい年代とは?
かつて、痛風がまだ贅沢病と言われいた頃は、痛風になる人というのは「60歳以降の男性」というのが一般的でした。
しかし現代では、小さい頃から高カロリーの食事を摂っていることもあって、20代半ばにはすでに「尿酸値が高い」と言われる状態になり、30歳ではすでに「高尿酸血症」と指摘されるところにまで至っている人も少なくはありません。
ですので、30代半ばで痛風発作を発症し、そこからずっと、尿酸値のコントロールを続けなければならなくなる人も珍しいことではないのです。
女性と痛風の関係とは?
痛風は現在でも患者の9割を男性が占める疾患で、女性の痛風患者は大変少ない割合となっています。
しかし、痛風患者の母数自体が増えているので、割合は低いとはいえ、女性の痛風患者数も確実に増加傾向にあります。
これは食事や生活習慣が「痛風になりやすい」ものに移行していることが何よりの原因ですが、女性に関しては過度のダイエットやストレスでの「ホルモンバランスの乱れ」が原因となることもあります。
女性の痛風患者が少ないのは、女性ホルモンが尿酸値の上昇を防いでくれているからなのですが、この女性ホルモンのバランスが崩れると、女性ホルモンによる尿酸値のコントロールもできなくなるので痛風になりやすい身体になってしまうのです。
過剰なダイエットで月経が止まっている人や、既に閉経した人などは痛風リスクが高いということを頭に入れておきましょう。
尿酸が高いだけでは何の症状もないのが痛風の怖いところ
30代というのは仕事も忙しく、プライベートでも忙しい日々が当たり前という年代です。
まだ身体もしっかり動きますから、少々の無理は構わずする年代でもありますし、食事にしても20代と変わらない内容のものを、変わらないスタイルで摂っている人も多いはずです。
しかし、身体と言うのは確実に老いているので、自分がいくら若いと思っていても、少しずつ無理の利かない身体にはなっています。
そのことに気を配らずに、ずっと同じ生活を続けていると、血中の尿酸は確実に増えていきます。
ただ、これが痛風や高尿酸血症の怖いところなのですが、血中の尿酸が高い状態が続いていても身体には特に異常が見られることはないのです!
これは痛風発作が起きてやっと「自分の尿酸値はヤバかったんだ」とわかることなのです。
ですから、定期健診で尿酸値が高めですよと指摘を受けた時に「何の症状もないから平気だ!」とせずにこの時点で対処をしていくことが、痛風にとってとても大切なことになります。
特に「まだまだ自分は元気」と思っている30代で尿酸値が高めと言われた人は、自分の身体を過信せず、しっかり対処をしていくことが重要になってきます。
痛風の症状とは?
痛風はこの疾患の名前の通り「風が吹いても痛い」というほどの「激痛」が特徴の疾患です。
痛風の痛みが出てくる部位としては、下半身(特に足)が代表的です。
痛風発作が起こった人の大半は、足の膝やくるぶし、かかと、足の親指付け根、アキレス腱に激痛が起こったと言います。
これは痛風の原因となる尿酸血症の比重がとても重く、重力に従って身体の下部へ下がるからだと言われています。
ただ、このような痛風の痛みの症状は下半身にばかりでるわけではなく、肩、ひじ、手指の関節、胸骨など、全身の関節にでるので、もし痛風発作が起こってしまったら、速やかに痛風の治療を始めることが何よりも大切な痛風の対処法になってきます。
痛風の予防のためにサプリメントの飲用を検討する
治療と並行してサプリメントを活用するのは非常に有効な手段です。
痛風の改善に何よりも大切なのは「食生活の改善」で、痛風発作が起きるリスクを下げていくということなのですが、サプリメントを使えば手軽に毎日の食事のサポートを行うことができますよ。